F355のチューニングメニューに「チャレンジの脚」があります。
しかし、非常識な乗り心地です。サーキットスペックだからという言い訳が通用するのかどうか…
路面を喰わせる脚をプロデュースする私どもは「?」をつけます。
チャレンジのスペックを掲載します。
SPRING
FR 素線径 巻径(外) 有効巻数 バネレート FreeL セッチングストローク 最大荷重
ヘルパー 9.7 102.3 1.75 6.4k 96.0 61.3 392.3kg
メイン 18.0 116.2 3.0 37.0k 160.0 ### ### 通称32k
RR 素線径 巻径(外) 有効巻数 バネレート FreeL セッチングストローク 最大荷重
ヘルパー 9.5 101.3 1.83 5.8k 96.0 61.5 356.7kg
メイン 15.0 112.8 3.0 18.0k 159.5 ### ### ーーー
スタビ
(ARB)
FR 素線径 腕の長さ 腕の変型区間長 トーション区間(CTLより) レバー比 ホイールレート
22.5 180 0 375 0.54 8.9k
RR 素線径 腕の長さ 腕の変型区間長 トーション区間(CTLより) レバー比 ホイールレート
17.2 190 90 500 0.92 3.5k
チャレンジのバネは非常識な程、硬いです。GT選手権の様なスペックです。しかし、車体剛性、タイヤが違いますので…
なぜ、この様な仕様になっているのかを考察します。理由があるはずですから…
1.前後のベストバランス状態ですと、重心位置がセンターの車両の場合、前後のブレイクアウトが同時に起こり、車両のコントロールが難しくなります。スピンモードの収束時のコントロール性を上げるために敢えてバランスを崩しておく事が必要になります。
2.F355の場合はフロントのトレッドが狭いために、同じロールモーメントを与えた時にフロントがロールし易くなります。
3.ショートホイールベースの激しいピッチング(ノーズダイブ)を押さえるため
4.レース中でのライン変更を容易にするため、車両コントロール時のレスポンスアップ
の4点が考えられます。

今までの経験値を元にF355を机上で作ります。
Sタイヤの昨今の状況とF355のボディ剛性を考えると、リアのホイールレートは9K前後、
車両の重量を1440kg(FR600kg/RR840kg)と仮定し、サスペンションレバー比はFR=0.7、RR=0.84、以上の条件です。
重量配分からフロントのホイールレートは6.4kとなります。
レバーレシオからリアのバネレートは10.7kです。フロントのバネレートは9.2k(計算結果)
従って、Fに9k、Rに10kを入れると、前後がバランスよく沈む事になります。
バネレート ホイールレート 重量配分 レバ−比
SPRING FR 9 7.0 600 0.7
RR 10 9 840 0.84
車体はフロントがナロートレッド、リアがワイドトレッドです。前後がバランスの良い、同じレート(上記)ですと、フロントのロールが大きくなりますのフロントのスタビを少し固めの方向に持っていきます。
上記のチャレンジのスタビですと、ホイールレート比でフロントが2割強、リアが半分以下です。
フロントはナロートレッド分で相殺され、リアは弱いですが、低速コーナーで威力を発揮できると思います。
コレ以上柔らかいスタビは想像できません。(ジムカーナは別です)
リアスタビに関しては、コースの大きさで考えていきたいと思います。コースインさせて状況を見ないと何とも言えません。
狙っているのは、ステアした時にナロートレッドならではシャープ感、そしてロール(曲がり始めて)してから、ワイドトレッドならではのリアのズシっとした安定感、リアの抵抗感を引きづったままでショートホイールベースを活かした小回りです。
走らせ方により、トラクションをかけた走りをする場合は、リアのバネレートを12kにすることも想像できます。(突き刺さり系)

ミッドぽい走らせ方の場合はリアスタビを22mmで製作すれば良いでしょう。9k相当になります。(丸いライン取り)


ロール量を計算すると、
重心高さ=500mm、フロントトレッド=1515、リアトレッド1610
1Gの旋回Gを得られたとして
フロント外輪の移動荷重は198kgになります。
バネ(7.0k)とARB(8.9k)が付いていますので、バンプ量は12.5mmとなります。
その時のロール角度は、左右のバンプ&リバウンド差=25mm、トレッドが1515mmですから、約1.0度となります。
フロント外輪の移動荷重は261kgになります。
バネ(9.0k)とARB(3.5k)が付いていますので、バンプ量は21mmとなります。
その時のロール角度は、左右のバンプ&リバウンド差=42mm、トレッドが1610mmですから、約1.5度となります。
この様にリアのロール剛性が低いですが、ファイナルオーバーステアにするためには程よい数値と思います。
ロール剛性の絶対値が高すぎて乗りにくい場合には、ロール角を2.3度ぐらいまで増やしても良いでしょう。きっかけがつかめて乗り易くなります。
当然ですが、ダンパーとロール量は関係有りません。

ノーズダイブを計算すると、ホイールベースは2450mmですから、
293kgの移動荷重を得ます。
7kのホイールレートを持つタイヤが2輪ありますので、ノーズダイブ量は21mmとなります。
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